【競馬の馬具】シャドーロールの役割と好走例を解説

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馬具の役割

馬具をつけて走る馬

競走馬の気性を矯正するための馬具に「シャドーロール」と言うものがあります。
三冠馬「ナリタブライアン」が使用していたことが有名で、歴の浅い競馬ファンの方でも「シャドーロールの怪物」と言う彼の異名を耳にしたことがあるのではないでしょうか?

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シャドーロールの役割

シャドーロールとは、「シャドー」と名前に入っているとおり「影」にまつわる矯正馬具です。
気性の荒いことが特徴にあるサラブレッドですが、基本的には警戒心が強くとても繊細な動物なのです。
競走馬の中には、自分の足元の影を怖がったり、地面のちょっとした起伏や切れ目に驚いてしまう馬もいます。

こうなると落ち着いて走ることが難しくなり、騎手の手綱ではコントロールできないほどに興奮してしまうケースも。
こうした気性の変化を防ぐために、馬の足もとの視野を遮ることがシャドーロールの役目です。
また、頭を上げて走る癖を正す効果もあり、首の上下運動に関する走法矯正馬具としても使われています。
装飾品としてシャドーロールをつけている場合もあります。

 

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シャドーロールの形状

パドックを周回している時やレースの際に、鼻のところにフワフワしたボア状の輪っかを付けている馬を見たことがあるかと思います。
その馬具が「シャドーロール」です。馬それぞれの癖や目的にあわせてサイズや取り付け位置(深さ)は異なりますが、基本的に鼻革(鼻に取り付ける革製の紐)に取り付けられます。
シャドーロールを額革に取り付けることもあり、この場合は「ブロウバンド」と呼びます。

なぜ走り方も変えることができるの?

シャドーロールの仕組みは、足元への視線を物理的に遮ってしまうと言うシンプルなものです。
しかし、なぜ走法を矯正する目的でも使われているのでしょうか?この理由もとてもシンプルなのです。

馬はシャドーロールをつけられることによって足元が見えなくなりますが、それを見ようとして頭を下げる傾向があります。
この効果を利用して、頭を高く上げて走る癖を持つ馬の走法矯正に用いられているのです。

一般的に、頭を低くしながら前方に伸びるように走るのが、競走馬としていいフォームとされています。
しかし、頭の高い走り方を矯正したら能力が低下してしまうケースもあるため、調教師の的確な判断が必要とされています。

大舞台でシャドーロールが奏功した例

何と言っても、「ナリタブライアン」でしょう。
ナリタブライアンと言えば豪快な走りが強く印象に残っていますが、実は非常に臆病で神経質な性格の持ち主でした。
特に「自分の影」や「足元の環境」に対して強い警戒心を見せていました。
当然集中して走ることができず、デビューしての6戦では惨敗するケースも。

G1出走権利の獲得も危ぶまれ「もう負けられない」状況で京都3歳Sに挑むことになりました。
そこで大久保調教師は、ナリタブライアンにシャドーロールを装着しレースに出走する決断をします。
その結果、ナリタブライアンは後続に3馬身もの差をつけ、レースレコードを1秒2も破る勝ちタイムで圧勝。このレースから「シャドーロールの怪物」の快挙が始まるのでした。

次戦の朝日杯3歳S(G1)を勝利し、それから連勝のまま挑んだクラシックG1「皐月賞」「日本ダービー」を破竹の勢いで制覇。
そして「菊花賞」も優勝し、中央競馬史上5頭目の三冠馬となりました。
その後の活躍はもはや説明不要だと思いますが、「シャドーロール」がなければナリタブライアンの才能は開花されることがなかったかもしれません。

最近ですと「アエロリット」もその例のひとつです。
アエロリットはデビュー5戦目で挑んだ大舞台「桜花賞」で初めてシャドーロールを装着し、6番人気中5着と健闘しました。
続くG1「NHKマイルC」では前回よりサイズを大きくしたシャドーロールが着けられました。
この采配も功を奏しアエロリットは優勝。菊沢調教師にとっても初めてのG1制覇となりました。