競馬の馬具「メンコ」その効果とおもしろエピソードをご紹介

競馬トリビア

馬具の役割②

メンコをつけている競走馬

競走馬の「顔」とも言えるメンコ。多くの馬がこのメンコと言われる覆面を装着してレースに挑んでいます。
カラフルでユニークなデザインのものが多いため“オシャレ目的”で着けていると考えているファンも多いようですが、メンコは馬の性格の矯正や走行の補助を目的として使われる馬具のひとつなのです。

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メンコの役割

メンコの「矯正馬具」としての役割について解説していきましょう。
英語では「hood」とも言い、角のようなものが付いていて耳を塞ぐ形になっています。
耳を覆うことによって音に敏感な馬を落ち着かせることができ、この効果こそがメンコの一番の目的と言っても良いでしょう。
騒音の多いパドック周回の時だけ装着して、レース本番では外す馬もいます。

また、角(耳覆い)がないメンコもあり、馬の性格や癖により使い分けられています。
これは、音が聞こえないことで逆に不安を感じてしまう馬もいるためです。
岡部幸雄元騎手はメンコの装着に否定的な意見を持っていましたが、この“逆効果”を危惧してのことだと言われています。

では、なぜ耳を塞ぐ必要がないのに、わざわざ角を取ってまで装着する必要があるのでしょうか?
メンコは、顔を守る目的でも使われているのです。
ダートレースで多いのですが、顔に砂をかぶることを嫌がる馬がいます。
このような馬は顔に砂がかかると消極的になってしまい、走ることに集中しなくなってしまいます。
芝のレースでも、土や剥がれた芝などが顔に当たると走る気をなくしてしまう馬がいるようです。
こうした凡走を防ぐためにメンコが装着されています。

また、障害レースに出走する馬のメンコは目の部分が大きくなっています。
これは、障害飛越時の衝撃でメンコがずれてしまっても、目を塞ぐことなく視界が確保できるようにするための仕様です。

 

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ファッションアイテムとしてのメンコ

メンコには、手の込んだデザインのものも多くあります。
馬主や所属厩舎のカラーやシンボルをモチーフにしたデザインのものが一般的ですが、なかにはその馬だけのために作られた特製オリジナルメンコも。
この場合は装飾品としての要素が強く、レース観戦する際には目印になったりもします。

馬主によるオリジナルメンコは、勝負服にあわせたデザインが多くなっています。
赤字に黒縦縞の「エイシン」や、青字にピンク斜線の「メイショウ」のメンコは、勝負服とともにみなさんお馴染みでしょう。
サンデーレーシング所有の競走馬にもオリジナルのメンコが装着されることがありますね。

厩舎メンコでは、西園厩舎の水色に大きな赤い星が描かれたインパクトあるメンコがやはり有名でしょう。
「シルポート」や「ハクサンムーン」を管理していたように逃げ馬や先行馬が多い厩舎ですので、このメンコを被った馬が先頭を切り馬群を引き連れるシーンはなかなか迫力があります。
他にも「カレンチャン」や「ロードカナロア」を管理していた安田厩舎の黒を基調としたクールなメンコや「ホッコータルマエ」を輩出した西浦厩舎オレンジ色のメンコも印象的です。
厩舎メンコにはファッション的な要素だけでなく、調教時などで自厩舎の馬を判別しやすくする実用的な目的もあります。

ファンを喜ばせたオリジナルメンコ

馬名やキャラにあわせたオリジナルメンコにも面白いものがたくさんあります。
「ニンジャ」という馬は、馬主の計らいで手裏剣のマークが入ったメンコを着けていました。
最後の直線で、まるで忍者のように先行馬へと忍び寄るシーンが印象に残っていますね。

愛らしい白毛で大人気だった「ブチコ」は、白地にブチ柄のメンコをかぶってファンを喜ばせました。
ブチコの場合は、パドックを一緒に周回するスタッフのファッションにもブチ柄の要素が込められており、レースのたびにファッションチェックをすることが恒例となっていました。

気性難のため様々な馬具を装着した姿も印象的だった「ゴールドシップ」は、自身の名が金色で記されたメンコを装着していました。
「タイガーマスク」という馬名の馬には、もう皆様も想像されていると思いますが…そのとおり、漫画「タイガーマスク」のプロレスマスクをモチーフとしたメンコが装着されていました。
それだけではなく、勝利後の口取り式では鞍上の武豊騎手もタイガーマスクの覆面をかぶって登場!ファンや関係者の笑いをとっていました。

このようにメンコは「矯正馬具」の目的を果たしながら、ファッションアイテムとして使うことができるため、ファンサービスにも一役買っているのです。